2014年01月20日

『たいせつなこと』

たいせつなこと (ほんやく絵本)
たいせつなこと (ほんやく絵本)

『たいせつなこと』マーガレット・ワイズ・ブラウン/作。レナード・ワイスガード/絵。うちだややこ/訳。フレーベル館。

「でも あなたに とって
たいせつなのは
あなたが
あなたで
あること」


 小学校六年生の卒業向けのブックトークでも使われるらしいです。
 「あなたがあなたであること。わたしがわたしであること」
 この概念は子どもには(大人もか)けっこう難しいらしく、相手を受け入れること、相手を認めることを繰り返し説いていかないと、理解できないようです。
 戦争はなぜダメなのか、平和ってどんなことなのか。
 自分の半径数メートルの事しか理解できない子たちに自分に置き換えさせて、何度も説明して考えさせて考えさせて、ようやく、想像力を羽ばたかせることが出来るようになるらしい。
 小学生というか子どもの想像力というか、心の成長とあわせて、いろいろなことを考えさせられた本でした。『へいわってどんなこと』という本と一緒に買っただけに、
「あなたが大切なんだよ。あなたがあなたであることを受け入れるよ。あなたがあなたでいてくれればそれでいいよ」
という、単純明快なメッセージを伝えること、そして、それを受け入れるにはこちらにも心の余裕がないと無理なこと。そして最終的には、「わたしはわたし、あなたはあなた」という道にたどり着く過程の壮大さをも思いました。
posted by 桔梗 at 00:00| Comment(0) | 絵モノ:絵本 | 更新情報をチェックする

2014年01月19日

『にいさん』

にいさん
にいさん

『にいさん』いせひでこ/著。偕成社。

「きみは手をふりながらいつも笑っていた
世界に何も怖れるものなんかないようだった」


 いせひでこ氏が描く、ゴッホとテオの兄弟の物語。
 わたしはゴッホに特に思い入れがなく、通り一遍の知識しか持たなかったのですが、兄弟の絆の深い人だったのだなと、わたしには理解できないくらい濃くて深い血の繋がりがあるから、というより、兄弟がライバルであり、同じ才能を持った二人だからこそ、近くにいたからこその愛憎劇があったのかな……と思いました。

 また、ゴッホの人生行路も知らなかったのですが、へーっと思わせることばかりで。

 透明水彩の絵が有名ないせひでこさんですが、アクリル? の厚塗りの絵で、これまでのイメージとは違う絵でした。ひまわりの花が枯れて種が実っている絵を水彩の方でもよく描かれていますが、ゴッホの影響だったのですね。宮沢賢治の影響が強いのには気がついていましたが。

「きみの魂をゆさぶるものは、つねにきみのすぐそばに、人生そのものの中にあった。
歩きながら、さすらいながら、きみはきみの真実をひろった。
きみはすてるものなど、何ももっていなかった。」


 わたしは血縁関係に問題があるので、どうしても、理解しきれない部分があるのですが、一番の理解者がいながらうまくいかない、そのつらさを想像しつつ、でも悩んだからこそのあの絵だったのだろうと、納得がいったような気もしました。
posted by 桔梗 at 20:24| Comment(0) | 絵モノ:絵本 | 更新情報をチェックする

2014年01月12日

お引っ越し

 auのLOVELOG閉鎖に伴い、お引っ越ししてまいりました。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 ネットの片隅でひっそり続ける読書ブログです。
posted by 桔梗 at 19:33| Comment(0) | 雑記:ごあいさつ | 更新情報をチェックする

2014年01月11日

『へいわってどんなこと』

へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)
へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)

『へいわってどんなこと』浜田桂子/著。童心社。

「へいわって ぼくが うまれて よかったって いうこと。
きみが うまれて よかったって いうこと。
そしてね、 きみと ぼくは ともだちに なれるって いうこと」


 日(童心社)・中(訳林出版社)・韓(四季節出版社)の三カ国共同出版全12冊のうちの一冊。
 へいわってどんなこと? と聞かれて、「戦争がない状態」とだけ答えるのならば、それは単なる対義語に過ぎないのです。
 他人を殺さず、殺されず、当たり前にご飯が食べられて、当たり前に好きな人に抱っこされて、朝までぐっすり眠り、好きなものを読み、好きなことを信じ、好きな歌を唄い、そして、あなたもわたしも幸せであること。
 生まれてくる命に、生まれてきてくれて良かったと感謝でき、祝福できること。その子の幸せな未来を想像できること。
 それが平和であること。

「いやなことは いやだって、ひとりでも いけんが いえる」


 同調圧力やスクールカーストに負けないで!
 そう祈りながら、ページを繰りました。
posted by 桔梗 at 16:58| Comment(0) | 絵モノ:絵本 | 更新情報をチェックする

2014年01月06日

『左遷も悪くない』

左遷も悪くない
左遷も悪くない

『左遷も悪くない』霧島まるは/著。アルファポリス/発行。星雲社/発売。

「この戦いで、ミルグラーフ軍は多すぎる同胞の命を失った。そんな中、たったひとつの命を救うことなど、誰がどう見てもただの自己満足だったろう。しかし、たとえそうであったとしても、この一人が生きていてくれて良かったと、ウリセスは心の底から思ったのだ。この男は、死んだ皆の分まで幸せに生きて欲しいと思った。」


 「小説家になろう」というサイトに載せられた、ネット小説? を書籍化したもの。まあ、自分の書きたい小説を載っけているので、異世界にトリップして、特殊能力を持っていて大活躍とか、そういう無意識下の願望を叶える小説が多いのですが(?)、その中では異色? なのかなあ……。よくわかりません。
 ただ、普通に読んで面白かったです。

 主人公は鬼軍人で仕事には真面目で、部下の命を数字としてだけ見るようなことはせず、ただひたすらに仕事に有能でそれで地位を築き上げ、上官の無能な命令には逆らい、筋を通し、悪い噂をばらまかれるだけではなく、更には命を狙われるほど嫌われ、身の安全のために故意に左遷されるのですが、その左遷先で、結婚して、初めて家族としての幸せ、仕事人間としてではない「人間」としての幸せに気づき、それを得ることが出来る、という話です。

 戦下で救ったたった一人の命が、つながってつながって、彼の息子が奥さんになるのですが、それに付随する兄弟や友人関係、しかも田舎ならではの濃い友人関係に囲まれて、人間として自分に足りなかったものに、主人公がゆっくり気がついていきます。
 また、お嫁さんもおっとりとしていて、それでいて芯を持った人で、頑張りますし、その少ないコミュニケーションの中で、きちんとお嫁さんを見つめることが出来る主人公は、良いオトコだと思いますよ。仕事バカですけれどね。

 主人公は鬼軍人と言われる人物で、それはイコール殺人鬼なのですが、人を殺すことだけではなく、それ故に命を守り、大切にする事を知っています。
 それを作者さんは穏やかに描かれていて、殺伐とした背景を持つはずなのに、穏やかで家庭や家族の大切さを描いているのが秀逸であるなと思いました。

「物事は、見ているヤツが見たいように名前をつける。俺を悪人にしたい人間に、何を言ったところで通じることはない。その代わり、お前のように見ている人間も、止めることは出来ん」


 それは本当にその通りで、その悪評の中でも前を向く強さ、自分の正しさを信じる強さ、それを基づける情報分析や行いの冷静さ、そういったものを持っている主人公がうらやましくもあり、家庭というものに素直に「幸せ」を感じ、それを与えてくれた人物に感謝することも忘れない、やっぱり、仕事バカですが、良いオトコだと思いました。

 すべての行いは自分にかえってきますね。
posted by 桔梗 at 17:14| Comment(0) | 小説:ライトノベル | 更新情報をチェックする

2013年12月31日

良いお年と一年の感謝をこめて

 今年一年、とあるボランティア団体のとある長を勤め、犯罪未遂(訴えたら犯罪者集団ですが)素人集団につるし上げくらったり←、ストレスためて倒れたり、献血出来ない体重になったり(ワタシの身長は162センチ)、人間的にヤバい集団に関わってしまいました。
 来年度は、自分を取り戻してキチンと自分を大切に、わたしがわたしであることを再確認して、そして再出発出来ればと考えています。

 言い訳になりますが、ここまで読書ブログ(本を読むことが出来ていない)を更新出来ないとは思っていませんでした。テレビを持っていなくても新聞は取っていたわたしが新聞を読めなくなり、新聞を止め、そしてたまった新聞はテーブルの高さを越えました。

 来年度はもっともっと自分を大切にしたいと思っています。
 定期的に更新出来るようになるまでまだ時間がかかると思います。今しばらくお待ちいただければ、幸いに存じます。

 皆さまのご多幸をお祈りしております。
posted by 桔梗 at 23:10| Comment(0) | 雑記:ごあいさつ | 更新情報をチェックする

2013年12月14日

『最初の質問』

最初の質問 (講談社の創作絵本)
最初の質問 (講談社の創作絵本)

『最初の質問』長田弘/著。いせひでこ/絵。講談社。

『時代は言葉をないがしろにしている──
あなたは言葉を信じていますか。』


 中学3年生の国語教科書にも掲載されている詩らしいです。
 長田弘氏は福島の出身。
 この本を、福島で教員として退職し「「未来=子どもたち」に「見ろ」というほどの世界を作ってやれなかった」と悔やむ恩師に贈りました。原発やら秘密保護法やらで『全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利』を守る社会をつくり上げることが出来なかったと、そう悔やむ恩師に。

 わたしは言葉の力を信じています。
 確かに今、成文法を順守しない、成文法なんてどうでもいいと明言する会長がいる会に(いつのまにか)所属させられていて、水素ほどの重さも持たない言葉の軽い人たちといっしょに仕事して、この犯罪者集団はどうにもならねーなーと呆れ返っているのですが。
 それでも、それはわたしの力が足りないだけで、『言葉』の力ではないと思っています。
 言葉を尽くしても伝わらないことがあるかもしれません。でもそれは言葉を尽くした人だけが言えることだと思います。

 言葉の力を、教えてくれたのは先生です。
 先生はわたしたちに、授業を真面目に受けないなら出て行けなんて一言も言わずに、自分のほうを向かせて、授業に集中させ、民主主義や平和の大切さや、憲法について語ってくれました。
 声を荒らげて怒鳴ることも、脅すこともしませんでした。
 先生は言葉ひとつで、40人の心をつかみ、そしてわたしたちに、わたしたちひとりひとりに向き合ってくれました。

 先生。今日隣にいる人と手を繋いで見上げた空は高くって、スカイツリーがよく見えました。
 枯れ葉がすっかり落ちて、柊が青々として赤い実を付けています。
 先生。わたしは相手がどんなに嘘つきでひどい人でも、わたし自身は誠実な人間でありたいと思い、そうあるように努力しています。
 世界では悲しこともたくさんあるけれど、それを防ぐために、それを押しとどめるために頑張っている人はこの世にたくさんいて、わたしもその一人になりたいと思っています。その人たちの力になりたいと思っています。
 

 先生、先生。ありがとう。
 先生の教えてくださったことは、花開いてきちんと実になりました。次の種にも受け継がれるように、できうる限りのことをします。
 先生、いつまでも元気でわたしたちを見ていてくださいね。
posted by 桔梗 at 11:54| Comment(0) | 絵モノ:絵本 | 更新情報をチェックする

2013年12月13日

『季節のなめこ図鑑 雪・恋・花編』

季節のなめこ図鑑 雪・恋・花編
季節のなめこ図鑑 雪・恋・花編

『季節のなめこ図鑑 雪・恋・花編』Beeworks SUCCESS/監修。エンターブレイン/出版。

 新聞も止めた今、こんなの眺めて心を落ち着かせています。
 親衛隊と愛人のいるところと戦うのはもうイヤだ……。
posted by 桔梗 at 11:17| Comment(0) | その他:企画モノ | 更新情報をチェックする

2013年11月12日

『一生中2じゃダメかしら?』

一生中2じゃダメかしら?: 西炯子エッセイ集 (フラワーコミックスアルファルルルノベルス)
一生中2じゃダメかしら?: 西炯子エッセイ集 (フラワーコミックスアルファルルルノベルス)
『一生中2じゃダメかしら?』西炯子/著。小学館。

「送り手側には覚悟が求められた。だが今となってはそんなもん無くたって誰でも送り手になれる。しかも匿名で。自分の発した言葉に責任も覚悟も持たぬ者が、呼吸するがごとく世に向けて言葉を放つ」


 漫画家・西炯子のエッセイ集。
 ホンモノ(ホンモノってなんだ)の漫画家は実は文章がうまい。なぜなら、絵と選び抜いた数少ない言葉だけで物事を人に伝えるから。というのが実はわたしの持論です。
 文章書きなんか、あ〜だこ〜だ説明つければ何とかなっちゃうのを絵と少ない文字数で伝えるというのは素晴らしい技術で能力だと思うのです。
 で、やはりこの人も抑圧されて育ち、それでも世の中に対して自分の立ち位置をしっかり持つことで、生きにくいながらも何とか生きていっているわけで。そういう人の書く文章はコダワリがあるし、立ち位置が近い分、わたしと似たことを考えていて、そこで文章できちんと腑に落ちるように書かれちゃうと快哉を叫びたくなると同時に、すごく嫉妬します。

「世の中というのは大変に複雑だし得体の知れないものだ。それをあるがままに受け止めるのは難しい。事象を、自分の見知った了見に落とし込んでいくことは、正気で生きる術であろう。」

「自分の言い分が、様々な方向から検証して理のある事であるか、公共の益に適うかなど考えることは、理性と知性と胆力の要ることだ。ひょっとしたら孤立するかもしれないし。んで、そもそも馬鹿ははなっからこんなこと考えないし、自分の言い分を主張することが正義であるくらいに思っているから、でかい声で無理をわめく。しかし馬鹿は馬鹿であるが故に通した言い分に責任を取らない。而して後には「なんでこんなことになってんだろ」という、やるせない状況が横たわる結果を生む。」


 ……。もう、何度も頷いて、涙まで流しました。
 で、そこで疲労はするけれど、「間違っていると思う」と声をあげて、少しでも状況を変えようと努力している今。孤立してますよ。
 黙っていたら通り過ぎて行くし、そのほうがwiseだと思う。でも、そこで声をあげないと何も始まらないから、声をあげていますよ。アナタはそれでいいかもしれないけれど、ワタシはそれをやられて大変困っているし、今後の未来の人も困るんだ。それはやり方を変えて行こうよって言ってます。言うだけの仕事はしています。
 わたしはcleverだけれどwiseにはなれないんだな、と思う。で、それで疲労して倒れていちゃ意味がないんだが、そこはわたしが強くならねばならぬところで。
 うん。流されずに、自分の足で立って生きていくのは強さが要ります。その強さを見つける、強くなる努力を今も昔もわたしはずっとしているんだと思う。
 で、こういうところで同志を見つけて喜んでみたりする。

 アナタの言うことは否定しないよ。でも自分と違う意見があることは認めようよ。それが民主主義ってもんだ。
 あ、しまった。わたしの相手はナチス・ドイツだった←。
posted by 桔梗 at 12:46| Comment(0) | その他:エッセイ | 更新情報をチェックする

2013年10月11日

『燈港メリーローズ』全三巻

燈港メリーローズ 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)
燈港メリーローズ 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)
燈港(トウラン)メリーローズ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
燈港(トウラン)メリーローズ 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
燈港(トウラン)メリーローズ 3 (花とゆめCOMICSスペシャル)
燈港(トウラン)メリーローズ 3 (花とゆめCOMICSスペシャル)


『燈港メリーローズ』全三巻 都戸利津/著。白泉社。

「燈港がこの胸にあれば もう息苦しくはない」


 I氏とm氏おすすめの漫画。
 20世紀初頭の東洋と西洋の混ざり合うアジアの港町がモデル。
 西洋列強が本格的に乗り出してくるための、きな臭い治外法権的な自治区があり、混沌とした街を舞台に男勝りで自己主張があるために疎外感を持つ西洋人である主人公が、恩師で兄でおそらく初恋の人を頼って見聞を広めに来る、というお話。
 あんまり大戦のきな臭さは感じないので、ま、異世界ファンタジーあたりがちょうどよろしい舞台かと思われます。

 作者さんも、これまでと違うお話の作り方をして云々と隅っこに書かれていたように、書ききれたかというと登場人物を描き切れたとは言い難いかな、と思います。
 黄氏は、なんというか、うん、まっとうになりたかったんだろうね。
 光と影じゃないけれど、表裏な存在のカイと黄氏。
 エドガーとして彼女を呼び寄せた思惑やら考えると、自分で張り巡らせた有刺鉄線を取り払いたかったんだろうなと思います。

 どちらも、アゼリアを必要としていて、ある意味アゼリアに自分を『懸けて』いたんでしょうね。『賭け』でもあり『懸け』でもあり。
 その一方でアゼリアも息苦しい思いをかかえていたようではありますが、自分を貫いていけるだけの強さがあり、が、ちょっとわたしにとっては感情移入しにくい本なのかな……。
 で、どこに感情移入するかというと、カイでもないし、わたしにとってはどこにもないんだなー。カイはカイで笑えるだけの強さをすでに手に入れており。
 強くなってしまった人々の出会い、なあたりが描ききれなかった要因のひとつかと。

 消化不良な感も残りますが、雰囲気を味わうぶんには楽しい、かな。
 この方、ある漫画で有名になった方でしたね。
 他の作品も読んでみようかな、というくらいには興味がわきました。
posted by 桔梗 at 01:41| Comment(0) | 絵モノ:漫画 | 更新情報をチェックする