2012年01月24日

『太陽の匂い』

太陽の匂い―画文集太陽の匂い―画文集
椋 鳩十 原田 泰治

理論社 1984-08
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画文集『太陽の匂い』椋鳩十/文。原田泰治/画。理論社。

「 南アルプスも、中央アルプスも、三千メートル級の高い峰を連ねた大山脈である。この二つの山脈にはさまれた谷間を伊那谷という。
 冬になると、雪の峰々から、骨のずいまで冷え込むような冷たい風が谷間を吹きおろして来た。夜の間に、池の水も、川の水も凍ってしまうのだ。
 こういう里の子どもたちは、特に、おてんとうさまに心ひかれるのであった。」


 日本海側の湿った冬も、北海道の雪が降ると暖かい冬も、内陸の乾いた氷点下も経験しましたが、冬の寒さと雪に覆われる地域はどこも太陽を心待ちにするものだと思います。
 それが椋鳩中の文章でうまく思い起こされて、春が来る喜びや、冬のなかの見つけたほの温かい風景が描写されます。

 だけれど、わたしの好みの問題だと思うけれど、原田泰治の画がどうも明るすぎて違和感をぬぐえません。冬の描写なのに、雪がなかったり枯れ枝色でなかったり。
 冬の景色というとどうしても斎藤清の版画が思い起こされます。
 冬の暗さがあってこそ、「東北の春は賑やかだ」に繋がると思うので。

 こぶしの花が咲いたら、春はすぐそこです。
 written by 桔梗 at 14:14 | Comment(0) | 絵モノ:画集 | 更新情報をチェックする

2011年11月08日

『ほしのたびびと』

ほしのたびびと (Heart Oasis)
ほしのたびびと (Heart Oasis)

『ほしのたびびと』舟崎克彦/文。おぐらひろかず/絵。ひさかたチャイルド。

「私たちは よるべない存在です。
けれど、何かを
あてにしてはいけません。
自分から ひと粒の種子をまくこと…
そこから宇宙は芽生えます。」


 頂きものの大人向け絵本です。
 「どこか」に行けば、「なにか」があって、自分の居場所を見つけられるのではないか、と思っていた主人公が、ある星に種をまき、そこでようやく自分の居場所を見つけます。

 ずっとしまってあったのですが、久しぶりに出してきて、風邪ひきのあたまでぼんやり読んで、涙が出ました。
 調べたら絶版だし……。
 誰かに贈りたいと思う本なので、復刊ドットコムにリクエストしておきました。
 寄る辺ない存在のわたしたちが、自分の居場所を見つけたり作れたり出来ますように。


 復刊ドットコムでリクエスト受付中です。よろしくお願いします。
 written by 桔梗 at 10:18 | Comment(0) | 絵モノ:画集 | 更新情報をチェックする

2010年09月01日

『BとIとRとD』

BとIとRとD
BとIとRとD

『BとIとRとD』酒井駒子/著。白泉社。

「☐ちゃんは泣いて…、ウォーと泣いて、お母さんを責めましたけど、☐ちゃんのお友達はどこかへ行ってしまって、もう、どこにもいないのでした。」


 絵本と言うよりは、画集と言うか、インテリアというか、おしゃれな子どもの心のわかる大人のための本。
 幼い日々の説明の出来ない不意に襲ってくる切なさとか悲しみとか、大人とのやりとりとか。そういった大人になった今では説明の出来ない気持ちの揺れを描きます。

 闇に浮かび上がるような、蛍の光のように自発する、そんなほのかに幼く輝く女の子が素敵で、それでも、その輝きをまとっていた頃にはもう戻れない。
 失った日々です。
 written by 桔梗 at 16:59 | Comment(0) | 絵モノ:画集 | 更新情報をチェックする

2010年05月12日

『銀河鉄道の夜』

画集 銀河鉄道の夜
画集 銀河鉄道の夜


『銀河鉄道の夜─The Celestial Railroad─』原作/宮沢賢治。画/KAGAYA。河出書房新社。

「どこまでもどこまでも一緒に行こう。
僕はもう、あのさそりのように
ほんとうにみんなの幸のためならば
僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。
けれどもほんとうのさいわいはいったい何だろう。」


 ご本人サイト「KAGAYAギャラリー」。

 以下にyoutubeのプラネタリウム上映の公式予告編を。

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 written by 桔梗 at 17:17 | Comment(6) | 絵モノ:画集 | 更新情報をチェックする

2010年01月07日

『金曜日の砂糖ちゃん』

金曜日の砂糖ちゃん (Luna Park Books)
金曜日の砂糖ちゃん (Luna Park Books)

『金曜日の砂糖ちゃん』酒井駒子/著。偕成社。

 絵本と言うよりミニ画集です。
 酒井駒子さんの絵が好きなんです。

 3篇の短編が収められています。
 遠回りして帰ることが大冒険で、知らない道、草ぼうぼうの空き地はテーマパークだった、そんな気持ちを思い出させてくれます。

 子どもだって寄り道して心を落ち着けて帰りたかったり、色々あったなあって。
 夜中に起きたら異世界に迷い込んだように不安で、だからといって親が助けてくれるわけもないんだけれど親にくっついて寝たら安心だったあの頃の絶対的信頼感とか、でもここで起きたら異世界に行けそうなわくわく感とか、そんな今ではもう手に入らないような気持ちを、これを読んで少しだけ思い出せました。

 子どもの心っていったいいつどこでどこに置き忘れてきちゃうんでしょう。
 早く大人になって強くなりたかったあの頃の気持ちを思い出したいような、やっぱり思い出したくないようなそんな不思議な気持ちです。
 written by 桔梗 at 01:42 | Comment(2) | 絵モノ:画集 | 更新情報をチェックする

2009年10月31日

『青い月の物語』

青い月の物語
青い月の物語

『青い月の物語』小浦昇/銅版画。青居心/詩。ダイヤモンド社。

 なんだか絶版になっているみたいで。復刊ドットコムに入っているらしいです。投票お願いします。



 青い色が印象的な銅版画に文章をつけたミニイラスト集というか作品集というか。
 青い月の銅版画がとても素敵です。『赤い月の物語』もあります。
 小浦昇の作品紹介のサイトは「月影綺談」。ぜひのぞいて見て下さい。

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 written by 桔梗 at 00:27 | Comment(0) | 絵モノ:画集 | 更新情報をチェックする